甲子園 投球数制限について考える

学生野球

投球制限のデータ

まず、以下のリストを見ていただきたい。

出典:2018年学生野球資格回復研修資料より

上記のデータは私が2018年12月に行われた学生野球資格回復研修で学んだ資料から抜粋させていただいたものです。

上記は夏・春甲子園大会の投球数の多かった選手のリストですが、2021年の選抜大会から1週間で500球の投球制限が導入されます。

甲子園大会開催期間は3月19日(金)から31日(水)までの13日間32校によるトーナメント方式で行われます。

1週間で500球という制限であることから、先発投手で1試合完投125球以内なら4試合投げられることになります。

組み合わせにもよりますが、大会は13日間なので前半は特に制限にかかることはないでしょうが8強以降に週500球に達する可能性がわずかですが考えられます。

過去、選抜大会では安楽選手(現楽天)が772球で1試合平均154球でトップですが、この球数でも1週間に3完投はできることになります。

ちなみにWBC(ワールドベースボールクラシック)での投球制限では1試合につき1次ラウンドは65球、2次ラウンドは80球、準決勝以降は95球を超えて投げることは出来ない。

打席中に投球制限に達した場合は、その打席完了まで投球できる。

敬遠の球数は投球数に含まない。という内容で、更に試合間隔では1試合で50球以上投げた場合、中4日を空けなければならない。

30球以上、または2試合連続で投げた場合は中1日を空けなければならない。

こんなルールとなっていました。

WBCは世界のトッププロが開幕前に行うということでこのような制限が設けられているのですが果たして日本の高校生が1週間で500球制限とは皆様どのように感じますか?

以下の表はアメリカの年齢別投球制限です。

出典:2018年学生野球資格回復研修資料より

日本の高校生は17−18のカテゴリーで比較して見ると、1日の投球制限は105球で76球以上投げると中4日必要となります。

投球数制限導入の課題

前項までのデータを見ていただき日米間の制限についての違いはご理解いただいた上で、なぜ、日本の高校野球では長らく導入されなかったのか?

甲子園大会は高校球児にとって最大の目標であることはその歴史からも十分理解されています。その偉大なる甲子園大会は大会主宰の毎日新聞社、朝日新聞社、NHKという巨大なメディアが主宰につく大イベントであることを認識する必要があります。

まず、投球制限の必要性が問われることの理由に大会スケジュールの問題があります。甲子園球場はプロ野球阪神タイガースの本拠地であり、2021年選抜大会はプロ野球の日程上開幕権がなければほぼ調整なしで行えるスケジュールになっています。

しかし、夏季大会についてはシーズン真只中のため、阪神タイガースは2週間のロードゲームになります。近年はこのあたりの調整で京セラドームを使用することで負担を減らすことができていますが、2週間はかなり限界だということです。

従って、高校野球の甲子園大会は短期間で実施せねばならない状況が常にあって試合日程に余裕を持たすことは非常に厳しいという現実になります。

仮に甲子園球場のステイタスがここまでなければ近隣球場を数カ所使用して行ったりすることも可能だと思いますが全国大会というよりは「ザ・甲子園球場大会」で有る限り現状は変えられないと見ています。

高校サッカーのようにメインスタジアム以外のグランドを使うことを考えれば、私の思案では甲子園球場、京セラドーム大阪、ほっともっとフィールド神戸この3球場を併用で使用し夏季大会はナイター開催で熱中症対策をして選手の負担を減らすことを考えても良いと思っています。

投球制限の導入のハードルとして選手層の厚さによる戦力が偏ることが想定されます。残念ながら公立高校では選手層を厚くすることは厳しいと思われます。現状、甲子園に出場してくるチームはほぼ私立高校となっていますので甲子園大会では条件に違いはないのではないでしょうか。

しかし、地方大会については全く状況が異なるため公立学校は更に厳しい状況になると思います。現に公立学校自体の生徒数は私のいる千葉県でも定員割れする学校が半数以上(2021年入学試験1次)のため、今後、統廃合が進み1校あたりの生徒数が増えれば野球部のメンバーも増える可能性があるので複数投手による継投や投球間隔を空けることが可能となるでしょう。

投球制限 小学生・中学生の例

出典:2018年学生野球資格回復研修資料より

上記は小学生(軟式)・中学生(硬式)の投球制限になっていますが、小学生に関しては投球イニング規制はあるものの投球数については規制なし。

まだ、制球力もままならない状態で投球数制限がないことはいかがなものだろう。ちなみにリトルリーグについてはマイナー(3年生〜5年生)で75球、メジャー(5年生〜中学1年生)で85球の先発投手の制限が付けられていました。

投手の交代のタイミングが難しく人数の少ないチームの場合は本当にやりくりが大変です。

しかし、指導者も普段の練習から色々なポジションが守れるように練習させることになり、結果選手の育成に繋がっていたと思います。

最後に野球の場合は様々な団体が存在し団体ごとにルールが異なっているためここは米国のように年齢別で基準を設けられるようになることを願っています。

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