野球人口の減少について

コラム

プレーヤー減少の実態

野球人口の減少については学童から高校野球までの指導現場に関わって来た経緯から学童野球(硬式団体を含む)においてプレーヤーの数が圧倒的に少なくなりつつありチーム自体の存続が厳しくなったいる。

そもそも居住地域の状況を見てみれば、ある程度子供の数が多いのか少ないのか?

小学校が統廃合されているような地域では、子供の数が減っているわけで、更には野球をやる子供はかなり少ないと見ている。

2年程前まで地域の小学校でプロ野球について話す機会があった。

これは、世の中のお仕事について語るイベントで、プロ野球なんて一般的な職業ではないものの何故か呼ばれて話をしていました。

その時に、6年生対象で2クラス、約60~70名ほどの児童の内、実際に野球をやっている児童は2名しかいなかった。

このような実態の中で、地域の学童チームが1チームあり、小学校が2校で児童人数は100名に満たない訳で学童チームには1学年で6人から7人となっていた。

1学年では9人に満たないため5年生・6年生でやっと試合ができる状態である。

地域によって新しい住宅エリアが大規模で開発されるなどすれば、移住者が増えて子育て世代が増えるのですが、全く開発が無いとなるとあっという間に地域の子供の人数が減少してしまいます。

ここまでは、どうすることもできない実態となるのですが学童野球については地域の子供の人数に対してのチーム数が果たして適正なのだろうか?

昭和の時代からチームが存続しているなど伝統あるチームなどはそう簡単に廃部にはできない訳で何とか存続を維持していこうと児童を集めている。

では、少年野球(中学生)はどうなっているだろうか?少年野球はクラブチームと呼ばれる硬式団体か中学校の部活動かという選択になります。

近年はクラブチームが増えて学校外でプレーするケースが増えて、逆に中学校の部活動としては先生の労務管理の問題もあり週末は1日だけの活動に制限され、更には指導できる先生の存在も少なくなっているのではないだろうか。

情熱ある先生に巡り会えれば充実した活動となるでしょうが、こればかりはどうすることもできない。

人事異動があれば顧問の先生は変わるので、当然、環境も変わるということです。

中学校での部活動でまともに活動できないとなると、クラブチームを選択する。

クラブチームは週末主導型だが、グランドや指導レベルは高い。

社会人野球まで経験された指導者や場合によっては元プロの指導者もいる。

そして、高校野球では強豪校への道が開かれることもあるので、上を目指すプレイヤーは間違いなく

クラブチームを選択する。

指導者やチーム運営もコロコロ変わらないので、自分に合ったチームが見つかれば充実した期間を送ることができます。

また、プレイヤーを広範囲から集められるので中学校の部活動よりは人数不足の問題は今のところは避けられている。

高校野球については、私自身が現在進行で指導を行なっているので実感しています。

まず、公立高校は定員割れなど生徒数が明らかに減少、その分、私立高校は生徒を集めています。なので、公立高校野球部となると今後は連合チームが増えるか、学校自体の統廃合を進めるか大幅な改革が必要となるでしょう。1学年9人入部してくれれば御の字です。学校間の格差がありますが人口の多いエリアにおいても例外ではなくなって来ています。

逆に私立高校は多くの部員を抱えますので、その中で練習や試合など経験を積むことができない場合もあると思います。

学校ごとで特色がありますので、自分に会った学校を選ぶことが必須となります。

ここまで学童野球から高校野球までの現状についてお伝えしましたが、日本は人口減少、特に少子化という現実にさらされていることは間違いありません。

しかし、少子化=野球人口減少ということでもないように思いますので次章から、その辺りの話しをさせていただきます。

減少の理由

プレーヤー減少については、結論野球というスポーツの魅力を子供達に伝えることができていないと感じています。

私の育った時代は、父親が野球ファンで仕事から帰ると晩酌しながらジャイアンツの試合を観ていました。そして、そこには長嶋さん、王さんとスパースターがいたわけです。

他のスポーツの情報などは薄く、父親は子供とキャッチボールをすることが当たり前の時代でした。

では、現在はどんな状況かと言えばサッカーやラグビー、バスケットボール、テニス、卓球、ゴルフ、陸上にと多くのスポーツの存在や魅力が伝えれ子供たちは、その多くの選択の中から選ぶことができます。

親の世代(20代~40代)は既に野球から離れた世代でもあり、各種プロリーグが立ち上がった背景があります。

Jリーグ(サッカー)、トップリーグ(ラグビー)、Bリーグ(バスケットボール)、Vリーグ(バレーボール)、Tリーグ(卓球)メディアでの取り扱いも、プロ野球はジャイアンツ戦が地上波から消え今はCS,BSの放送が主流となりました。

このメディアの取り扱いが変わったことで、野球だけが特別だった時代から他のスポーツとも横並びとなったことも大きな要因であることは間違いありません。

そして、各リーグは集客施策を打ち出すことになります。至極自然なことで、個々のチームはファンを増やして、チケット、グッズ、ファンクラブ年会費、スポンサーなどを獲得して運営のための収益を確保します。

このようなマーケティング活動をガンガン行い始めたことで、世の中に情報が発信され、「子供には何かスポーツをさせたいけれど、何が良いかな?」豊富な選択が広まったことになります。

野球という限られた選択しかなかった時代から変わったということです。

選択できるようになったことは、逆に選ばれるようにならなければならないということ。

選ばれるためにその魅力を発信して、選んでもらわなければなりません。

ここに野球へのイメージというものがどうも選ばれない原因となっているのではないかと推測されます。

今現在子供達に野球をさせている親は大抵、自身が野球経験者で幼少のころからおもちゃの野球道具を買い与え野球をやってもらいたい一心で環境を構築しているのではないでしょうか。親の影響が大きいということです。

仮に親が経験者ではない場合、子供自身から野球をやりたいと言わない限り親はアクションを起こせないでしょう。

地域の保護者同士のつながりの中で誘いがある場合もありますが、未経験の親の立場からすると、かなり覚悟が必要となってしまいます。

そして、最大のネックはチームに入ったあとの保護者同士の面倒な関係。

学童野球の場合、「お茶当番問題」「送迎車出し問題」など発生してここに保護者同士で問題が起きるのです。

親が子供の楽しんでいる姿を観るのは当たり前、しかし、指導者への不満や協力しない人などへのバッシングなど発生し、親同士のトラブルが原因でチームを去ることになったり・・・・。本末転倒ですね。

野球に限ったことではないのですが、親が指導現場へ介入するケースが多く見られ、野球では、学童野球だけでなく、少年野球、高校野球などにおいても見られます。

そんな状況ですから、指導者側も配慮が必要となり疲弊します。少なからず、子供達へも影響が出ますので、これらの問題が、大人も子供も野球=辛く、嫌なものとなってしまいファンを増やすどころか全くその逆で衰退を加速させてしまっているのです。

そして、子供達を取り巻く環境はどうなのかといえば、学校での休み時間、放課後の過ごし方から友達同士で野球もしくは野球遊びをすることはないでしょう。

チームに入ってプレーしている子同士ならあり得ますが、クラスの友達とキャッチボールをしたり、

ボールを打ったりする環境はほぼ無くなったのではないでしょうか。

また、学校のグランドも使えず、公園でのキャッチボール禁止などもあり場所が失われていることも

起因します。

かなり厳しいことを書かせていただきましたが、減少理由をまとめると以下のとおりです。

1、選択肢が広がったこと

2、野球経験者の親が減っていること

3、親の負担が大きいこと

4、場所がない

では、今後の展望はどうなるのかについて次章でお伝えいたします。

今後の展望と施策

では、今後の展望として野球人口の減少にどう対応していくべきなのか?

単純にプレイヤー数を増やすことは人口そのものの減少や、多様な選択肢のある中では厳しいと思います。

先ず、地域の人口に合わせてチームの統廃合を進める必要があります。チーム数が多ければ、1チーム辺りの人数が少なく、全てにおいて効率が悪くなり負担も大きくなります。

現に、中学校では部活動の廃止など決定している地域など出て来ています。高校も例外ではなく、公立高校の場合は統廃合を進めるべき。学校の定員が割れているのですから。

ズルズル引き伸ばしても結果は変わることは期待できません。リストラした後は、指導者の育成ですね。

私が受講した学生野球資格回復の講義などとても勉強になりましたので、野球指導者向けのセミナーやコンテンツを開発して、オンラインでどんどん提供し指導者のレベルを上げていきます。

技術指導だけでなく、チーム運営のマネジメントなどもプログラム化して共通の認識を持つようにします。

次はプロモーションです。一重に野球のイメージを変えること、既にプロ野球はファンサービスを含めてかなりの施策を行なっています。選ばれるものになるためには、それなりの行動が必要ということです。

現在、公立の高校野球部を指導しているのですが、私立の学校と比べて公立高校は生徒に選んでもらいたいと言ったスタンスではなく、魅力を伝えることができていないのです。

「頑張って入試で点数とってください・・・・。」では誰も来ません。

学校自体に魅力がある学校は生徒が集まりますが、特徴のない公立学校なら当然生徒は集まりません。

せめて、部活動も授業の一環となるのでしっかりアピールしなければなりません。子供達には入試でアピールさせておいて、受け入れ側が何も伝えられていないのは不思議に思います。どんな方針で活動し、どんな実績があるのか?選ぶ側からしたら知りたいですよね。

学習塾でも、現役東大○名、慶應○名合格!生徒一人一人個別指導で・・・・。と差別化やこの塾に入ると何が得られるのかを前面に打ち出して生徒を集めます。

義務教育の小学校、中学校ではなかなか難しいとは思いますが、以前、私が住んでいた埼玉県の浦和に公立の中学校でありながら、何故かブランド化している中学校がありその学区内へわざわざ引っ越してくる人もいたほど。

ここで、公立学校の場合、県や市などの方針があり先生も公務員という立場から当然、定期的に異動があります。

ですから、異動した学校で腰を据えて改革に取り組むには少なくとも3年~5年はかかるでしょう。

その間、誰が取り組みを牽引して行くのか?そして更にその後も継続していける後任人事を取れるのか?

課題は多く残りますが・・・・。

ここで、2極化について触れておきたいと思います。野球人口の今後の展望については、単純な人口減少や選択肢の増などによるものだけではなく、世帯収入が影響してくると推測します。

日本は平均年収が他国と比べて増えていない。

かつては世界で上位に入っていましたが、現在は先進国の中では低い方になりました

<参考記事>

世界の平均年収ランキング!日本人の年収は世界で何番目?日本と世界の平均年収を比べてみました!
世界で一番平均年収の高い国はどこでしょう?日本の給料は海外の国と比べて高いのか低いのか?日本人は世界の中でもお金持ちなのか?と、ふと疑問に思ったはありませんか?この記事では、世界各国の平均年収を比べた結果、日本の給料は先進国の中では低く、相対的にどんどん低くなっていることが判明しました。

野球というスポーツは道具が必要で、グローブ、バット、ユニフォーム、スパイク等々。金銭的負担という意味では、中学からクラブチームを選択すれば月会費、硬式用用具一式、チーム統一のバッグやコートに始まり、遠征、合宿と費用が発生します。

このあたりが最初の分岐となり、その後、高校が公立か私立かで更に分岐します。

野球だけでなく、学習塾にもお金がかかる時代、野球というスポーツを継続して行くにも経済的な問題が影響してくると推測されるので経済的負担を減らしながらシンプルなチーム運営ができるように変えることは可能かと思います。

以下は施策案の一部となります。賛否はあると思いますが・・・・・。

まとめ

野球人口の減少に際し、決して過去のように多くの子供達が公園で野球をするような光景が復活することは厳しいと思います。

しかし、野球にはプロリーグが存在しプレーヤーとして成功できれば多額の報酬を得ることができる可能性もあります。

野球を好きになって、自分でもやってみたい!そう思ってもらえる環境をどうやって作れるか?近年、プロ野球が大きく変わり、球場がボールパーク化して集客を伸ばせています。

また、海を渡りメジャーリーグでの日本人選手の活躍を見れば夢があるのではないでしょうか。そんな華やかな世界をメディアを通して見ることができているのに、いざ、自分もプレーしようとチームに所属すれば古い体質により、こうあるべきだ、こうでなければならないなど固定観念に囚われた押し付けの野球を体感させ、更に保護者を巻き込んだ人間関係のトラブルを発生させてしまい、せっかく子供達が野球をやってみたいとなっても大人達がその芽を摘んでしまっていること。

このような状況を改善するために、指導や運営に携わる人向けの教育プログラムを開発し、オンラインで受講できるようにして行く。

また、元プロOBをアドバイザーとして活用することも検討いただきたい。資格回復(アマへの指導)済みであれば高校生以上の指導現場にできるので技術面だけでなく、チームの運営などにおいても元プロにアドバイザーとして入ってもらうことを勧めます。

きっかけは、色々あって良いと思うし野球オンリーでなくても全然OKです。

野球というスポーツが人々の生活の近くあると感じてもらうようになるまで普及活動を続けて行くしかないということ。

最後に米国でのプレー経験を持つ私が今でも感じていることは、本場のベースボールは人々に愛されていて、とにかくグランドが綺麗です。天然芝の美しいグランドには泥臭ささはなく、プレーする者が輝いて見えます。いつしか日本も天然芝のグランドが増えたらいいなぁと思い少しでも野球の魅力を伝えられる活動をして行きます。

長い文章をお読みいただきありがとうございました。

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