初めて学童野球の指導者になった方へのアドバイス

学生野球

学童(小学生)野球指導現場の現状と課題

現在、子供に野球をやらせている方の多くは、ご自身が野球経験者であることが多いのではないでしょうか。

両親が野球を全く知らずに自身の子供が自然と野球を初めることは稀です。大なり小なり親の影響を受けます。

では、学童野球のチームに入団して野球を初めたものの、色々大人の事情で問題が起こることがあります。

私も、学童、リトルリーグ、高校と指導現場に携わってきてこんなにもストレスを抱えながら子供達に野球をさせている方が多いのかと痛感しております。

この記事では学童野球の指導者になった場合にどのような点に気を付けて指導にあたるべきか。また、よくある問題に対してどのように対処することが良いのかを解説して行きます。

下記の図を見ていただきたい。

出典:文部科学省

近年、子供達の身体の大きさや一部の種目では数値が上がってきているものもあるのですが、こと「投げる」力については低下しています。

背景には、

・公園でのキャッチボールの禁止

・学校の校庭も解放されない

・平日の放課後は塾や習い事などで友達と遊ぶ時間などない。

野球離れといわれる現状が起こっていることから、チームの人数も少なくなり、とにかく部員の勧誘がチームの存続に直結しますので全くキャッチボールができない状態でも入団させていることが多くなったのではないでしょうか。

子供達は試合がやりたい、試合でホームランを打ちたいと思って入団して来ますのでこの期待にどう寄り添って行くかが指導者の役割となります。

そして、最も指導者として必要な資質は「決め付けないこと」です。貴方が野球経験者であれば尚更のこと現状はボールが投げれない、捕れない、バットにボールが当たらない状態からでも継続して行けば、数年のうちにある程度はできるようになります。

今の現状に一喜一憂せずに、子供達の可能性を信じて取り組ませてあげてください。では、今現在指導されている方の悩みとしては、どんな問題を抱えているのかをTwitterやブログ、経験則からピックアップしてみました。

1、指導方法や采配にいちいち口出しやダメだしをする人がいる。

2、レベルの違う子への対応

3、自分の子供の扱いでクレームを言ってくる保護者がいる。

4、古い考えのベテラン監督がいる。

5、訳のわからない古いしきたりのような決め事が存在する。

6、中学で野球を続ける子が少ない。

7、良く飲み会がある。

ざっとこんな感じです。

あるあるなんですよね。Twitter見てるとこの手の話しが多くツイートされていて我慢されている方が非常に多いのです。

課題ごとの解決方法

前項で記載した7項目の問題について、その対応を深掘りしてお伝えします。

まず、1の指導方法や采配にいちいち口出しやダメだしをする人がいる。

この点にについては、過去にどれほど素晴らしいプレーヤーであったとしても、小学生へ指導することが上手いという訳ではありません。

よく言われる「名プレーヤー、名監督にあらず」

貴方が野球の経験者である場合、いかに目線を子供達に合わせ、分かりやすい言葉で簡潔に伝えるかを意識してください。

保護者に舐められたらいけないと、難しい野球理論を展開しても逆効果になりますので学童野球では、基本をある程度できるようになればOKです。

つまり、守備ではキャッチボールができる。打撃では思いっきりスイングできる。これだけです。

いや~何言ってるですかー!と言われそうですが、結局、長く続けて行くためには基本動作がいかに正しくできるかです。

ここだけは、ブレないようにして、子供達には保護者がいる前でも何度も同じことを言い続けてください。

高校野球でも結局、キャッチボールがまともにできない選手は送球、捕球エラーを連発しキャッチボールからやり直しとなります。

キャッチボールのやり方については、別のブログで詳しく解説したいと思いますが、バリエーションを増やす必要があるのでただ、投げ合っている時間を多くするのではなく、地面にボールを置いた状態から掴んで投げることや、ステップしながら投げるなど飽きないようにしながら、時にはゲーム感覚で取り組めるように仕込みます。

指導者としては、「いつも違ったことを言う」が最も信頼されないことにつながりますのでポリシーを持って貫いてください。

更に指導方針については可視化して保護者へ共有するなどできれば誤解を生むことが少なくなりますので試してみてください。

2、レベルの違う子への対応

かなりのレベル差があると思いますが練習内容などは基本動作中心に行い、くれぐれも無理を強要しないように。

この時期は、早生まれの子供は身体的にもハンディがあります。キャッチボールなどは保護者に手伝ってもらうと良いでしょう。

レベルの差や体力差についても日頃から子供達にも説明しておき、「時間がたてば出来るようになるんだよ」と繰り返し伝えるようにしてください。思うように出来ない子へのバッシングは厳しく叱っても良いと思います。

3、自分の子供の扱いでクレームを言ってくる保護者がいる。

この点も1の方針によるところでもありますが、本当に自分の子供さえ良ければと考える親がいるんですよ。

この手のモンスターには、一度良きに計らえとばかりに何かしらの約束をしたら最後、辞めるまで続きますので一切余計な対応はしないでください。常に毅然とした態度で!

裏で、陰で何かを言われようとも必ず公平な対応に対して見てくれている人はいますので

子供達のためにここは踏ん張ってください。

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4、古い考えのベテラン指導者がいる。

既に20年以上やられている監督やコーチがいる場合で非常に昔ながらの野球を貫いている指導者がいる場合があります。

中には、素晴らしい指導者もいらっしゃるのでそのような方は除外として、とにかく趣味でやっていて、自分達のやりたい放題、言葉使いも馬鹿野郎、このヤローなど・・・・。老害ですね。

指導技術も学びがない人、全て自分が正しいと思っている人、グランドで平気でタバコを吸う人などなど。このような指導者がいた場合は一度貴方の考えを伝えてみてください。

否定するのではなく、今、このようなやり方があるのですが、どう思いますか?決して論破する必要はありませんので考えを聞く姿勢で提案してみてください。

結果、こんなやり方ダメだな、など一括されても3回までは時間と場所を変えて進言してみてください。それでも全く受け入れられないなら、指導現場から離れた方が良いです。

ちなみに私の場合は、このケースにはまってしまいチームを移籍しました。コーチ会議と称しての飲み会では言いたい放題。

あいつはダメだ、こいつは・・・と、更には試合の相手チームからもクレームがあったりで最悪でした。

私が一番許せなかったのは、最上級生のある少年について、指導者達はあの子は、怪我ばかりしてダメだ、投げ込みが足りない、気持ちが全然入っていない等々決めつけていました。

しかし、私の抱いた印象は、その子が投げているところを何度か見ていてチーム内では一番力のある選手だと思っていました。

何故、こんなに評価が違うのか?分かりませんでしたが。その少年が卒団して中学へ進学する時に、一度相談されたことがあって本人は中学で野球を続けるか迷っていました。

本人も野球がつまらないものになってしまっていたのです。私は、他にやりたいことがないのであれば野球を続けてみたら?と話しました。

その子は、迷った挙句中学校の軟式野球部で野球を続け、その後、野球の強豪高でエースになり、今現在、大学でも野球を続けています。

学童野球において指導者としての資質は、「人間性」であり、野球の技術については基本動作抑えておけばOKです。

簡単な言葉で目線を子供達に合わせられる寛容な人であって欲しい。そして野球の楽しさを伝えられる人になりましょう。

5、訳のわからない古いしきたりのような決め事が存在する。

学童野球あるあるです。保護者の間で存在する決め事なので、とにかく手間のかかることは無くすようにして行きましょう。

指導者への過剰な気遣いなども多く見られますので、人数の少ないチームなどはどんどん断捨離してください。

誰かが言いだすの待っているかもしれませんから。

6、中学で野球を続ける子が少ない。

この件については、正直、野球の楽しさを伝えられなかったことによるものも多いのではないかと思います。

つまらない体験をしてしまった。本人が他にやりたいことが出てきたのであれば問題ないのですが、トラウマのような出来事から、野球を嫌いになったなど、これだけは避けたいところです。

学童野球では運動神経の発達を主眼に置き、自分の身体を思い通りに動かすことができる感覚を養うだけでOKです。

目で見た動きを自分が再現できるようになること。このモノマネが上手くできるようになれば、あとは上手な人の動きを見るだけで再現できることになります。

7、よく飲み会がある。

コロナウィルスの蔓延で無くなったと思いますので、これからも無駄な飲み会は減らして行きましょう。

お酒の力を借りての発言は失言が多く指導者としては脇が甘くなりますのでできるだけお酒の機会は減らしてください。

ここまでの内容を一度まとめておくと、指導者の立場では常に公平性が求められます。方針などは可視化して後からでも確認できるようにしておきましょう。

これくらい分かるだろうは危険です。

そして子供達のためになることを常に優先することと無駄を省くこと。基本的にはビジネスと一緒です。

最大の難関!保護者との関係をどう構築するか?

最も問題が起きやすいのがこの保護者との関係性です。

居住地域が近い場合、子供達も普段の学校生活から一緒であることが想定されるためできるだけ良好な関係を臨みたいところですが、一番問題が発生するところでもあります。

学童野球の指導者=保護者でもある場合が多いので厄介な訳です。

では、これらの問題が起きやすい原因の多くは価値観の違いから保護者同士が険悪な関係になること。

また、そのトバッチリが指導者へ向けられること。

指導者自身に対するクレームなどであれば、貴方がどう対応するかで良いのですが、仲裁に入ると泥沼へ発展することもありますので、これもチームの方針として決め事は可視化して必ず入団を希望する方には事前に伝えておくことです。

また、派閥のようなものができる可能性があり、実際、高校野球の現場でもあるくらいです。何人かのグループができると本当に面倒を起こしてくれますのでできるだけ当番などは無くして運営できる方法を構築するようにしてください。

そして、指導者である貴方の態度は十分に注意が必要です。常に見られていますので言動には注意して

保護者とは一定の距離をとって接するようにしてください。

子供達のためになることを優先していれば可もなく不可もなく指導を行なっていけることでしょう。大切なことはブレないことです。

まとめ

現在、高校野球の指導現場に関わりプレーヤーの減少はかなり切実な問題となっています。学童野球からチームに所属して野球を初める子供達が多いのは事実。

最初が肝心で、野球というスポーツの魅力をいかに伝えられるかは大人の私達がやらねばなりません。

特に野球で成長の機会を得られたキャリアの人達が次世代の子供達へいかにその魅力を伝えられるか?

もちろん、多様なスポーツができる時代だからこそ、今、真価を問われています。

大きな変革が必要とも感じていますが、先ずは、自分達指導者ができることから行動を起こしていくことが必要ではないでしょうか。

中学校ではやがて部活動も無くなる方向であり、より環境が厳しいものとなっていくことは避けられそうもないのですが、今や、MLBのトッププレーヤーを輩出する日本の野球界も捨てたものではないと思います。

日本のビジネス界においてトップランナー的IT企業のソフトバンクや楽天、De NAなどがプロ野球のオーナーになっており、更にはホリエモンが北九州にチームを創るという野球に投資しているという事実があることを理解した上で子供達に野球の魅力を伝えられる指導者が増えることを願っております。

指導現場で困っていることがあれば、是非、ご連絡をください。

一緒に盛り上げて行きましょう!!


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